Naoko Life Diary

佐々木奈緒子のブログです。日々のこと、社会について気になることを綴っていきます。

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冤罪被害者・守大助さんとの面会[前編]

面会のいきさつ

 5月23日、日本国民救援会のSさんからのお誘いで、守大助さんと面会するために千葉刑務所まで伺ってきました。

 守大助さんは、仙台北陵クリニック事件で冤罪被害者となられ、無実を訴え続けていらっしゃる方です。

 仙台北陵クリニック事件がどのような事件なのか、まず概要をご紹介したいと思います。

 

* * * * *

<仙台北陵クリニック・筋弛緩剤冤罪事件>

 2001年1月6日、准看護師として仙台市の「北陵クリニック」で働いていた守大助さんが点滴に筋弛緩剤(商品名マスキュラックス)を混入したとする殺人未遂容疑で逮捕、起訴され、最終的には1件の殺人・4件の殺人未遂で起訴された事件。不当な強制・誘導で犯行を認める供述を強いられたが、逮捕から3日後に否認に転じ、その後は一貫して無実の主張を貫いている。

 検察は守さんが点滴を通して筋弛緩剤を注入したとしているが、弁護側は以下の3点で反論している。

(1)筋弛緩剤は点滴に混入しても効果がない(多くの臨床医の常識)

(2)5人の急変は、筋弛緩剤と症状が異なり、他の原因で明確に説明できる

(3)大阪府警科学捜査研究所による鑑定の信用性には重大な疑いがあり、マスキュラックスの主成分であるベクロニウムは検出されていない

 大阪府警科捜研の鑑定結果については、専門家が口を揃えて「有り得ない」と言うほど科学分析の名に値しないものであった。その上、科捜研は提供された血液などの試料を全て使いきり、再鑑定を不可能にしてしまった。国家公安委員会が定めた「犯罪捜査規範」第186条に違反する行為であり、警察による証拠隠滅が疑われる。

 弁護団は、患者の急変には事件性がなく、事件は「まぼろしである」と明言している。

 捜査当局は守さんを逮捕する前に、カルテの精査も、急変患者の主治医に事情聴取さえもせず、守さんが点滴に筋弛緩剤を混入したと勝手に思い込み、最初の逮捕に踏み切ってしまったことが明白となってきている。

 2004年3月に一審(仙台地裁)で無期懲役、二審(仙台高裁)では弁護側の鑑定請求等も却下され、2006年3月に控訴棄却。弁護団は即日上告したが、2008年2月に上告棄却となり、無期懲役刑が確定。同年7月、守さんは千葉刑務所に移送され、受刑生活が始まる。その後、2012年2月、仙台地裁に再審請求が申し立てられたが、2014年3月に棄却。現在、仙台高裁で即時抗告審が審理されている。

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 私は、恩師にあたる高木一行先生の裁判を支援する過程で、日本国民救援会の活動を知り入会したのですが、守大助さんのことも国民救援会に入会してから知りました。

 身近で大切な人が冤罪に巻き込まれてみて初めて、日本には非常に多くの冤罪事件があることを知りましたが、守大助さんの事件は紛う事無き冤罪であり、面会で応援していることをお伝えし、少しでも守さんの励みになればという思いで伺いました。

 

千葉へ

 電車に揺られて約1時間半、千葉駅に到着。千葉駅から路線バスに乗り換え、10分ほどで千葉刑務所に到着しました。

 面会の受付時間となると、用紙を配られ、住所や名前、生年月日等を記入します。そこまではよいのですが、次に配られた用紙は、どのような知り合いなのかとか、これまで面会は何回していて、通信(手紙)は何回送っていて、何回受け取っているか等、事細かに記入しなければならず、さらには、通信だけでは足りない理由を書く欄まであり、戸惑う質問が多く、内容が形式張っていることを感じました。

 身分証明証を提出して、身元を確認され、ようやく刑務所の正門へ。中に入り、番号の書いてあるバッジを受け取り、ロッカーに荷物を預け、しばらく待合所で待機。時間が来て呼ばれ、いよいよ面会室に入ります。

 

初めての面会

 受刑者の方と面会させていただくのは今回が初めてで少し緊張していましたが、守大助さんが弾けるような笑顔で出迎えてくださったのが大変印象的でした。

 これは一緒に伺ったSさんに後で伺った話ですが、守さんのひと月の面会の機会は3回。1回20分のため、20分×3=60分が1ヶ月で与えられている面会時間なのだそうです。その時間が外の世界の人と繋がることのできる唯一の時間で、とても楽しみにされているとのこと。

 待ちに待った外の人と(ガラス越しに)触れ合える時間がやってきた、そんな笑顔だったのかもしれません。

 

 軽く自己紹介をさせていただき、現在の刑務作業の内容について伺いました。オーダーメイドの靴を4人の班で作っていて、1人1人が1足の靴を一から全て担当されていること、価格は5万円ぐらいするが現在70足ぐらいオーダーが入っていて大変人気があり、作っても作ってもまだまだオーダーがあるとのことで、お話しされている様子からオーダーされている方のために真面目に取り組まれていることが伝わってきました。

 受刑生活では人間関係でご苦労があることも伺いましたが、面会中、終始笑顔を絶やさない守さん。こんな誠実な方の自由を奪い、15年もの間監獄に閉じこめておくなんて本当に酷い・・・、そんな気持ちが湧き上がってきました。

 

 面会の後編は、次回でご紹介します。 

 

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写真は、千葉駅前の斬新すぎる交番。『フクロウ交番』と呼ばれているそう。